Kの胸の動きがせわしない。
もともと、呼吸が荒いほうではあった。
すぐ興奮するから。
これは、何を意味する?
考えれば考えるほど、
あの時のあの様子は
すでに肺水腫だったのではないか、とか、
後悔ばかりしている。
自分がそうだから、
エアコンのホコリで
喉がいがらっぽいのではないか、とか。
もう、8月上旬の検診の時点で、
Kの身体はきつかったのかもしれない。
数字は気に留める変化があったわけでもなく、
咳が持ち直したり、
元気に吠えたり、
いつもと変わらないKだったから。
すっかり過信してしまった。
もう、カウントダウンだと言われても
心の準備も、物理的な準備もできてはいない。
年越しができないなどとは考えていなかったから。
今も、床に伏せの状態でじっとしている。
横向きになるのがしんどいのか。
足を投げ出して横向きに寝てくれると
なぜかホッとする。
こんなに呼吸が荒くていいのだろうか。
先生は、
『Kちゃんの場合、入院させると
かえって興奮してよくないので、
自宅で投薬治療をしましょう』と
おっしゃった。
その時は、そのとおり、と思ったが、
もしかすると、
これといって手が尽くせない、ということではないか。
素人の飼い主に投薬を任せるということは
匙を投げられたのではないか、と。
Kはレントゲンすら撮ることができない。
暴れてしまい、身体を倒すことができないから。
こんな状況で、十分な医療は受けさせてあげられない。
泣けてくる。
今日は、Kの顔を見て、
思わず涙が出てしまった。
泣かないと決めていたのに。
初めて僧帽弁閉鎖不全症と言われた時に、
余命も言われていたことを思い出した。
あのときも泣いた。
確か、お風呂で泣いた。
Kの場合、心雑音も軽度の、それこそ、
まだ病名にしてもいいかどうか、と
思うようなレベルだった。
信じられなくて、受け入れられなくて
泣いた。
あれから、5年が過ぎていたのだ。
本当に、現状のKの様子、検査結果を
完全に甘く考えていた。
今更になって、
『表面上は変化がないようにみえて、
心臓自体は確実に悪化していく』と、
ネット上で言っていたではないか。
そうなのだ、飼い主は病気をナメていた。
我が家に来たときから、
健康志向で、添加物に注意したり、
健康茶をブレントして飲ませたり、
身体によいと言われるものや、ことは、
積極的に摂らせて、やってきたのだ。
でも、それが何だったのだろう。
全然ダメではないか。
Kは10日前に11歳になったばかり。
誕生会をしようと話していたところで、
この悲劇である。
本当に情けない。
時計は元に戻せない。
飼い主の様子をKはじっと見つめる。
病院から帰ってきて、
ますます見つめることが
多くなったように感じる。
なんとか、なんとかならないか。
飼い主は今、胸が苦しくて痛い。

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